ずっと楽しみだった子供のスノーボードデビュー。
「スノーボード楽しい、またやりたい」って思って欲しいですよね。
けれども、ちょっとした教え方の失敗で、子供はスノーボード嫌いになってしまうことをご存知ですか?
私がゲレンデデビューでスキーを嫌いになった理由
私を例に挙げますと、私の子供の頃にはスノーボードは無かったので、スキーでゲレンデデビューしました。
幼い頃なのであまり記憶にはありませんが、スパルタ教育っぽい感じでスキーを教えられた印象が残っています。「転んだら自分で立て」「怖くない、前に体重をかけろ」のような感じですね。
それで私がどう感じていたかというと、「スキーって難しい」とか、「転ぶと起き上がるのがツライ」とかでした。
それだけならまだ良かったのですが、最後に急斜面でコントロールを失い、暴走しました。止まりたくても止まれず非常に怖かった記憶があります。
暴走する前から難しいとかツライなどのイヤな感情を持っていたのに、暴走で怖い思いをしたものですから、当然私はスキー嫌いになりました。両親の話だと、その後何年かは「スキーには行かない」と言っていたそうです。
スノーボードデビューの日に教えるべき滑り方
こうならないために私が提案するのが、デビューの日は、緩斜面でたくさん直滑降をさせてあげましょうということです。特に小学校入学前の小さな子供のデビューの日は、直滑降だけ練習することをオススメします。
親は「どうしても上達して欲しい」と考えてしまい、直滑降の練習などほとんどしないで、すぐに止まり方やターンを教えたくなりがちです。ですが、そこは我慢して、まずは直滑降をたくさんさせてください。
「直滑降」と表現すると、急斜面をブレーキせずに猛スピードで滑るというイメージがあります。ですが、ここでいう直滑降は、緩い斜面をターンせずに、ただ板に乗ってまっすぐ滑ることを意味しています。
なぜデビューの日は直滑降だけを教えるべきなのか
では、「なぜデビューの日は直滑降だけを教えるべきなのか」ですが、その理由は、単純に滑る楽しさをまずは体験することが重要だからです。
ソリって子供は好きですよね?ソリは乗って雪の上を滑るだけなのに、すごく楽しいことが大人でもわかります。スノーボードも一緒で、ボードに乗って雪の上を滑るだけで楽しいです。初めてスノーボードをする子供なら、その楽しさは直滑降だけで十分に味わえます。
大人になると、「上達しなくては」とか「格好良いと思われたい」とか「ターンぐらい出来なきゃ」という感情があるので、スノーボードデビューの日に直滑降だけをしていては楽しめません。ですが、子供にはそんな余分な感情はないんですね。
私がインストラクターをしていた時の経験では、小さい子供は初めてターンが出来た時にも、それほど嬉しそうな顔はしませんでした。小難しいターンをするよりも、直滑降でスピードを出して滑って、怖くなったらブレーキして、また直滑降する方が楽しいようです。
つまり、子供はターンが出来るということにそれほど価値を感じてはいません。ターンについて子供が嬉しさを感じているように見えたのは、ターン出来たことを私が親に報告し、親に褒められたときくらいでした。
子供はターンにそれほど価値を感じていませんし、デビューの日から上達を望んではいません。そのため、「直滑降しかしなかったら面白くないのでは?」といった心配は必要ありません。
子供は、直滑降だけで十分にスノーボードを楽しんでくれます。
デビューの日に難しいことを教えるとスノーボード嫌いになる
直滑降とは、曲がったりブレーキしたりせず、重力にまかせて斜面をまっすぐに滑ることです。
滑り出すときに親がサポートしてあげ、少し滑ったら親が受け止めてあげれば、子供は板の上に立っているだけで良いのです。止まり方やターンは技術が必要ですが、直滑降には技術はほとんど必要ありません。簡単ですよね。
最初は簡単な事から教えるべきです。
あなたが、新しい習い事を始めると仮定してください。最初に難しい事を教えられた場合、出来なくて「私には無理だ」。となりませんか?
反対に、簡単な事から教えてもらった場合、うまく出来て「この習い事は、私に合っているかもしれない。ちょっと続けてみようかな」となるはずです。そのあとで難しい事を教えられれば、最初から難しい事を教えられるよりも抵抗なく挑戦できませんか?
子供のスノーボードデビューも一緒です。すぐに止まることやターンを教えると「無理だ」となってしまいスノーボード嫌いになってしまうかもしれません。
はじめは簡単な直滑降をたくさんすることで、子供はスノーボード嫌いになりません。
直滑降の練習はスノーボード上達の近道
ただ、以上を読んだ人の中には、「デビューの日に直滑降ばかりしていては、スノーボードの上達が遅くなる」と思う方もいるかもしれませんね。ですが、その逆で、むしろ直滑降をたくさん練習することで、そのあと練習する、止まり方やターンが早く習得できます。その理由について説明します。
スノーボードの場合、まっすぐ滑っている状態からボードの向きを変えて止まるには、大人の早歩きくらいのスピードがあったほうがやり易いです。そのため、止まる練習は必ず直滑降をしてから行います。この直滑降の時に、腰が引けて後ろ足に体重が乗ってしまうと、ボードの操作が難しくなります。
初心者が止まろうとボードを傾けても、止まれずに暴走してしまうのは後ろ足に体重が乗ってしまっているからなんです。
直滑降の練習をたくさんすることで、滑ることに慣れて腰が引けなくなります。腰が引けなければ、ボードの操作は簡単になります。ボードを簡単に操作できれば、止まることは簡単です。
つまり、デビューの日に直滑降をたくさんすることは、実は上達への近道なのです。
それに、最初にターンの練習などをして「出来ない、もうやりたくない」となったとしましょう。そう、私のスキーデビューの状態ですね。このようになってしまい、スノーボードに行かなくなる方が上達は遅くなります。
自分の長女に教えた時の成功体験
実際私は、長女のスノーボードデビューの日に直滑降をたくさんさせました。というより、直滑降以外は教えませんでした。
私は長女をスノーボードデビューさせるにあたり、絶対に「つまらない、もうやりたくない」とは言わせたくなかったのです。子供とスノーボードがしたいのに、子供がスノーボード嫌いでは出来ませんからね。そもそも、せっかくやるのだから楽しんで欲しかったのです。
そこで、考え出したのが直滑降だけを教えることでした。
ちなみに私の長女のスノーボードデビューは、ゲレンデではなく近所の公園でした。
午前中、私がヘトヘトになるまでサポートをして直滑降の練習をしたので、「スノーボード楽しい。昼ご飯食べたらまた行く」と言い出しました。結果、ヘトヘトの体に鞭打って、午後からも近所の公園に繰り出すハメになりました。
直滑降だけで十分にスノーボードの魅力に気づいたようです。このことから、「スノーボードのデビュー日は直滑降を教えるだけで良い」と改めて実感できました。