今回のテーマは、「バックサイド(かかと側)の止まり方」を子供にどう教えるかです。上の連続写真の動きを、どのように子供に教えていくかについて書いていきます。
なお、止まるためには、前足に体重を乗せた直滑降が出来たほうが身につけやすいです。なので、それができない場合は、まずは、こちらの記事で紹介している、直滑降の練習を行なってください。
どうやったら止まれるのか
子供に教えるにあたり、教える側がどうやったら止まれるのかを理解してください。なので、まずは、スノーボードの止まり方について説明しますね。
止まるためには、フォールライン(最大傾斜線ともいい、その場にボールを置いたときにボールが転がっていく方向のこと。簡単に言うと滑っていく方向)に対して、ボードを横に向けた後、エッジを使ってブレーキをする必要があります。
今回は、かかと側で止まるので、ボードを横に向けるためには、前足のかかとに体重をかけます。前足とは、進行方向に対して、前にある足です。ブレーキするには、ボードが横を向いたら、両足のかかとに体重をかけます。
つまり
1. まっすぐ滑る
2. 前足のかかとに体重をかける
3. 両足のかかとに体重をかける
という動きをすれば、止まれるんですね。
では、このことを子供にどうやって伝えれば、理解してもらえるかを解説します。
最初に見本を見せましょう
「これから、止まる練習をするよ。どうやってやるか、まずはやってみるから見ててね」と伝え、最初に、見本を見せましょう。
言葉で説明するよりも、実際に止まるのを見せたほうが、子供は理解しやすいです。
見本のやり方は、まっすぐ滑った状態から板を横に向け、かかと側のエッジでブレーキして止まります。上の連続写真のように滑って、子供に見せてあげてください。
自分の滑りに自信がなく、インストラクターのような見本はできない、という場合も大丈夫です。ここでの見本は、「直滑降の状態からボードを横に向けて止まる」ということさえ伝われば良いからです。
なので、あなたが止まれるなら、それが十分見本になります。子供は、見本があった方が理解は早いです。なので、自信がなくてもやって見せて下さい。
どのようにすれば止まるのか説明しましょう
次に、見本でやった動きがどのようにすれば出来るかを教えます。教えるときはボードを外したほうが教えやすいので、子供も教える側もボードを外しましょう。
ボードを横に向けなくては止まれないことを伝える
「今やったみたいに、ボードを横に向けないと止まれないの」
と言って、ボードの方向を横に向ける必要性を伝えます。
表現はどうでもよく、「ボードを横に向けなくては止まれない」ということを、まずは教えて下さい。
ボードを横に向ける方法を伝える
「じゃあ、どうやってボードを横に向けるかっていうとね、前足のかかとに体重をかけるの」
と言って、ボードの向きを変える方法を伝えます。
体重のかけ方を伝える
「かかとに体重をかけるには、つま先を2センチ持ち上げるよ」
と言って、かかとへの体重のかけ方を伝えます。
私の経験上、かかとに体重をかけると言っても、子供には伝わりにくいです。なので、前足に体重をかけた状態でつま先を2センチ持ち上げると教えます。
子供のつま先を触ってから、指で2センチの隙間を作って、「ここをこのくらい持ち上げてみて」と説明します。
実際に親子で一緒に、前足のつま先を持ち上げてみましょう。つま先を上げたとき、腰がちょっとだけ開くのが、うまくかかとに体重を乗せられている目安になります。
ブレーキのかけ方を伝える
「まっすぐ滑っている時に、今みたいにつま先を持ち上げたら、ボードが横を向くよ。そしたら、両方のつま先を持ち上げて」
と言って、ブレーキのしかたを伝えます。
親子で一緒に、両足のつま先を持ち上げてみましょう。
一連の動きをまとめて伝える
「最初は前足に体重をのせてまっすぐ滑るよ。スピードが出てきたら、前足のつま先を持ち上げると、板が曲がってくるよ。そしたら、両方のつま先を持ち上げてブレーキね。そうすれば止まれるよ」
と言って、止まるための一連の動きを、教えます。
説明しながら、イメトレとして一緒に動いてみると、子供が理解しやすいですね。
長く書きましたが、前足のつま先を持ち上げると曲がる。曲がったら両方のつま先を持ち上げるとブレーキができることが、なんとなく伝わっていれば大丈夫です。説明が終わったら、次のステップに進みましょう。
後ろの手をつないで試してみる
説明がなんとなく伝わったと感じたら、後ろの手をつなぐ補助をしながら、止まる練習をしてみましょう。
上の写真のように後ろの手をつないで、まずは前足に体重をのせた直滑降をします。
早歩き位のスピードになったら、「前足のつま先を持ち上げて」と伝えます。つま先を持ち上げたまま2~3秒待つと、ボードが横を向いてきます。そうしたら両足の「両足のつま先を持ち上げて」とブレーキすることを伝えます。
この練習を何度か繰り返して、板の向きを変える感覚とブレーキする感覚を身につけさせて下さい。
実際に止まる練習をする
後ろの手をつなぐ練習で、板の向きを変える感覚をつかんだら、最後は一人で挑戦させてみましょう。
練習場所は、止まれないことも考えて、最後に平らになって、自然に止まるような場所を選べば安心です。
写真のような姿勢で、スタートを補助します。押さえながら、
「最初はまっすぐね。それから前足のつま先を持ち上げる。板が横になったらブレーキね」
と言って、動きを再度確認し、子供に合図してからスタートさせましょう。
スタートしたら、「前足のつま先を持ち上げる」「両方持ち上げてブレーキ」などと声をかけてあげましょう。
ある程度出来るようになったら次のステップへ
以上が、子供へのかかと側での止まり方の教え方です。
注意点として、最初のうちは、ピタリと止まることは目指さない方が良いです。なぜなら、ピタリと止まるには、フォールラインに対してボードを直角に合わせて、絶妙なバランスを保つという、難しい技術が必要になるからです。
ピタリと止まれる確率を100%にすることを目指して、何度も繰り返し練習し続けるのはオススメしません。子供が飽きてしまいます。
なので、ボードの向きを変えブレーキが出来るようになったら、横滑りや木の葉落としの練習に移ることをオススメします。これらの練習することで、結果として、板の操作が上手くなり、ピタリと止まれる確率も上がるからです。
また、子供が小学校入学前と小さい場合は、板の向きを変えてブレーキし、止まりかけたら座ると教えるのも、ピタリと止まるという難しい過程を省けるので、試してみてください。