今回のテーマは、「フロントサイドの横滑り」を子供にどう教えるかです。上の連続写真の動きを、子供にどのように教えていくかについて書いていきます。
ヘルメットを準備してからの方が安心
まず、教え方の説明に入る前に、フロントサイドの練習をするときは子供にヘルメットを被らせることをオススメしたいです。
というのは、スノーボードでの重大事故の原因に、フロントサイドの逆エッジで頭を打ってしまったということが多いからです。
フロントサイドの横滑りで逆エッジになってしまうと、背中から谷側に投げ出されるように転びます。そのため、後頭部を強く打ちやすいので重大事故になりやすいのです。
子供のためにも、ヘルメットを準備してからフロントサイドの練習をして頂きたいと考えます。
フロントサイドの横滑りに適した場所を選びましょう
フロントサイドの横滑りは、バックサイドの横滑りに比べると難しいです。なので、バックサイドの時よりも、慎重に場所を選びましょう。
練習する場所は、斜度は15°前後で良いのですが、圧雪された凹凸の少ない場所を選んで下さい。
斜面の凹凸があると、それに谷側のエッジが引っかかって逆エッジになってしまうことがあるからです。
子供の場合、体が小さく体重が軽いので、大人に比べて凹凸の影響を受けやすいです。出来るだけきれいに圧雪された場所を選んで下さい。
また、フロントサイドの横滑りは、山側に転ぶときには手を付きがちです。アイスバーンなど雪の硬い場所では指や腕などの怪我の可能性が高くなるので避けるようにして下さい。
フロントサイドの横滑りの練習をする頃には、バックサイドの横滑りや木の葉落としができるようになっていると思います。なので、普段はバックサイドで滑り、条件の良い場所を見つけたときにフロントサイドの練習をするようにすると良いでしょう。
最初に見本を見せましょう
練習場所が見つかったら、まずは見本を見せましょう。
「これから、フロントサイドサイドの横滑りの練習をするよ。まずはどうやるか見ててね」などと言って、まずは見本を見せましょう。
このブログでは何度か書いていますが、子供には言葉で説明するよりも、実際にこれからどのような滑り方をするのかを見せたほうが伝わりやすいです。
フロントサイドの練習をする頃には、バックサイドの横滑りの練習をしているはずです。なので、子供は見本を見せただけで、「今までとは反対側でやるんだな」といった感じで、フロントサイドの横滑りの動きを理解してくれます。
実際にフロントサイドの横滑りの仕方を教えましょう
見本が終わったら実際にフロントサイドの横滑りの仕方を教えていきましょう。
まずは、子供の山側に立ち、「かかとを持ち上げて、つま先に体重を乗せて立って」と説明し、手をつないだ状態で立たせましょう。
どうやって横滑りをするか説明しましょう
バックサイドの横滑りをやっているので、子供は理解しているかもしれませんが、確認のため「ここからブレーキを弱くしていくと滑っていくよ」と言って、ブレーキを弱くすれば滑り出すことを説明しましょう。
ブレーキを弱める方法ですが、フロントサイドの横滑りでブレーキを弱めるには、かかとを下げていきます。ただ、かかとを下げる意識だと逆エッジになりやすく、また、バランスも取りにくくなるんです。
なので、「ブーツを脛(スネ)で押すようにして膝を少しずつ曲げていくとブレーキが弱くなるよ」と説明します。
具体的には写真の黄色い丸の部分を指差して、膝を曲げながら「ここを押して」と伝えます。
このような意識でブレーキを弱めると、スネとつま先の2点でバランスが取れるようになります。かかとを下げる意識でブレーキを弱めるよりも、安定して横滑りが出来るんです。
手を繋いだ状態で、「膝を曲げながら脛でブーツを押して」と伝えると、自然とかかとが下がって、子供は横滑りを始めます。
教える側は、手を繋いだまま子供の滑るスピードに合わせて下がっていきましょう。
バランスの撮りやすい姿勢を教えましょう
滑り出すことが出来たら、次はバランスの取りやすい姿勢を教えましょう。
ほとんどの子供は、初めてのフロントサイドの横滑りのときは、頭が下がってお辞儀をしたような姿勢になってしまいます。
ですが、この姿勢では、つま先に体重を乗せにくいだけでなくバランスが取りにくいのです。
「顔を上げて胸を張るようにしてみよう」などとアドバイスをして、お辞儀の姿勢ではなく胸を張った姿勢になるように説明してください。
補助に頼らないように伝えましょう
手を繋いで滑るのに慣れ、少し安定してきたなと感じたら、「次は手を離して滑ってみよう」と伝えましょう。
補助の手に頼っていると手に頼ってバランスを取る姿勢になってしまうので、自分でバランスが取りにくい姿勢になってしまいます。
「転びそうになった時だけ掴んでね」と言って、出来るだけ手を離して滑るようにしましょう。
その時、子供の前に手を差し出しておき、いつでも掴めるようにしておいて下さい。そうすることで、子供は手を掴んだり離したりを繰り返しながら、徐々に手を離す時間が長くなり自分で滑れるようになります。
このようにすると、子供は、フロントサイドの横滑りが出来るようになります。
なぜフロントサイドの横滑りの練習をするのか
以上がフロントサイドの横滑りの教え方になります。
ただ、スノーボードが滑れる人の中には、このフロントサイドの横滑りの練習をしたことがない方も多いと思います。
実際のところ、私もインストラクターになるまでこの練習をしたことはありませんでした。
では、なぜフロントサイドの横滑りを練習するかというと、フロントサイドで止まるときやターンでブレーキするとき、フロントサイド側のエッジの使い方が重要になります。そのエッジの使い方を、横滑りで身につけることが出来るんですね。
そのため、フロントサイドの横滑りを練習しておいたほうが、ターンを早く安全に身につけることが出来るのです。
私の経験では、子供は、フロントサイドの練習を嫌がります。ですが、機嫌を見ながら少しずつでも練習していくことをオススメします。